2016年6月6日月曜日

熊本地震・現地レポート1

阪神・淡路大震災の被災協会として経験伝え支援しよう−。4月14日以降に震度7の強い地震が連続して起こり、死者49人、関連死19人など熊本県を中心に大きな被害が広がっている。兵庫協会は4月23日の理事会で、被災地への役員・事務局員の派遣など、熊本協会への協力を確認。4月24日から現地訪問を開始し、会員医療機関の被災状況確認など、活動を行っている。

5月7日・8日には広川恵一顧問・加藤擁一副理事長、林功先生(西宮・芦屋支部)、藤田誠治事務局長、石本紳二・楠真次郎事務局次長、山下友宙事務局員が現地を訪問。また、杉山正隆保団連理事、平田高士京都歯科協会理事らも同行した。7日には、熊本協会の木村孝文会長らと懇談し、被災状況や阪神・淡路大震災の経験などを交流、見舞金を手渡した。西山理事長も電話で木村会長にお見舞いと継続した支援を表明した。8日には、熊本市中央区役所を訪ね、吉良直子課長補佐から状況をうかがい、意見交換した。
5月9日以後も事務局員を派遣し、被災医療機関の訪問を行っている。

参加した林功先生のレポートを掲載する。

1.概況

平成28年5月7日に往路は新幹線にて新神戸より出発し、熊本駅からレンタカーで被災地各所を移動した。復路は航空機にて、熊本空港より伊丹空港に戻り現地解散となった。被災地のインフララインは、幹線道路に関しては概ね復旧が進んでいる。架橋の補強工事も進んでおり、各都道府県より派遣された警察官が交通整理にあたっている。交通は比較的スムーズであった。しかし余震が多く、被災市街地道路においては、道路周辺の住居の土手、外壁の崩落が進んでいて危険な地域が多い。
訪問した益城町では全壊家屋が多く、被災住民の生活の復旧は目途の立たない状況であった。益城町総合体育館における被災住民の、避難生活は3週間にわたっている。プライバシーの確保の問題、衛生面における感染予防対策、高齢者や身体障害者における配慮、住居環境の改善などの問題は、避難所関係各位の賢明な努力で改善されていた。しかし性暴力の問題や、エコノミー症候群の発生、避難所間における待遇格差の問題、行政と住民の渉外問題など、これから取り組まないといけない課題も多く散見した。
熊本地震の避難状況の特徴として、余震が続く中、屋内倒壊の恐れから車中泊する避難者が多い事があげられる。車中泊者に関する支援も今後考えていく必要がある。
被災会員の保団連における訪問調査では、名簿252件に関して、訪問件数74件、全壊6、半壊7件、一部損壊37件、孤立状態で訪問不可も2件報告があった。益城町では診療再開困難な全壊クリニックも多く、今後被害状況全容の把握が急がれる状況である。

完全に倒壊した住宅(益城町2016/5/8)

避難所となっている益城町総合体育館(2016/5/8)


熊本県保険医協会を訪問、懇談した

2.今後の課題

各避難所の衛生面の更なる配慮、地域コミュニティと行政との協調、在宅避難者の健康管理や医療福祉支援、通常の地域医療への移行、高齢者や障害者への避難生活への支援等課題は多く残っていると思われる。

熊本市役所にて吉良課長補佐(右端)と懇談した


3.謝辞

忙しい中お時間を割いて頂いた熊本県保険医協会木村会長、鈴木事務局長、徳永副会長には現地の詳細な被害状況をお聞きすることが出来ました。熊本市役所子ども課吉良課長補佐には歯科医師の視点から避難所における行政の課題のレクチャーを頂きました。被災今回の訪問をコーディネーターして下さった保団連の杉山理事には同じ会員として頭の下がる思いです。今後しっかり支援の輪を繋げていきたいと考えています。またこのような機会をお与えて下さった広川顧問には感謝申し上げるとともに、貴重な学びの機会をしっかり今後に活かしていきたいと考えています。この場を借りて、関係者皆様に感謝申し上げます。

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